ルーターは屋内電波の空港のような場所
この記事では、オンラインの音声環境改善に関わる一環として、屋内の電波発信の起点になるルーターについて、説明していきます。
前回の記事にて、インターネット環境を整えることの意味や重要性をお伝えしました。
音の遅れや間延び、断片的な音の抜けなどがある場合には、ネット環境が正常に作動しているかどうかを考えることは、重要な意味があります。
その中で、パソコンやスマホと電波をやりとりする重要な役割を担う機器の1つが、ルーターになります。
そんな重要な機器なのですが、ルーターが具体的にどんな機能や役割をしている機械なのか、聞かれたらすぐ答えが出てくるでしょうか?
すぐに答えが出てきた方は、恐らくご自宅で使用しているルーターも適切に管理されていると思いますので、ブラウザを閉じていただいて大丈夫です。
ですが、ルーターってなに…?と、その機能について不安・疑問が残った方は、ぜひ最後までお付き合いいただければと思います。
私はこれまで、転居や機器の不調などから、少なくともプライベートだけで6台以上、ルーターの交換や設定をしてきました。
また、友人宅の電波状態改善のため、オンラインでアドバイスを送ったりしたこともあります。
そうした経験もふまえて、インターネットが苦手な人にも、覚えてほしいポイントを絞ってお伝えしていきたいと思います。
ルーターの役割
ルーターとは、宅内のインターネット回線の電波をそれぞれの機器へと送り届けるための、司令的な役割をする機械です。
屋外の電線などから宅内まで配線されたネット回線のケーブルは、モデムやONUという名称の機器に繋ぐことで、宅内で使える電波に変換されます。
実は光回線にせよ、アナログ電波にせよ、それらはそのままではネット回線として利用できる状態になっていないため、その電波を宅内で使えるものに変換する機器が必要になります。
その変換機器がモデムやONU。
ご自宅のインターネット回線が、光回線で契約している場合は、光信号を変換できるONU。
ご自宅のインターネット回線を、アナログ電波(ADSLやCATVなど)で契約した場合には、モデム。
それぞれの機器が、回線の業者から送られて、宅内工事で使える状態にしてもらっていると思います。
このモデムやONUから、直接パソコンへケーブルをつないで使うことも可能です。
ですが、その場合にはパソコン一台のみしか、インターネットを使えません。
パソコンやスマホなど、複数の端末を同時に使うことを考えたら、電波をどこにどう送るか、また端末からの情報を処理してサーバーにどう送るか、それらを指揮してコントロールする機器が必要になります。
それこそが、ルーターの役割です。
ルーターは空港の管制塔のような働きをして、電波のやり取りを滞りなく行えるよう指揮してくれています。
ルーターはモデムやONUに内蔵されている場合もありますが…
通常、ONUなどの変換器とルーターは役割が違うので、それぞれ別に端末を用意することになりますが、中にはモデムもしくはONUにルーターの機能が内蔵されている機器もあります。
そのような機器はホームゲートウェイと呼ばれます。
ホームゲートウェイは機械1台ですべての役をこなしてくれるので、ルーターを用意する必要がありません。
そういう点では非常に便利ですが、ホームゲートウェイは基本的に市販されていません。
インターネット回線を契約する際に、契約内容次第で業者が持ってきて設置してくれるものになります。そういう点で、今回の記事ではホームゲートウェイについてはあまり深く触れません。ご了承ください。
それ以外の機器では、ルーターを用意することが必要になります。
ルーターは個人で購入するケースもあれば、契約時にサービスでついてくるケースもあり、様々です。
ルーターの設置方法については、今回は省略させていただきます。
電波が安定するのはどれ?
さて、ルーターを使い始めるにあたって、お使いの機器(特に今回は、デスクトップパソコンやノートパソコンにつなぐことを想定しています)に、どんな形で電波が届くようにするかを選ぶ必要があります。
・LANケーブルを使ってルーターとパソコンを直接つなぐ、有線接続。
・LANケーブルは使わず、無線の機能を利用してパソコンに送受信させる、無線接続。
有線接続は、物理的に安定したケーブルの中を、電波は守られながら通っていけるので、最も安定したつなぎ方になります。
接続端子が外れたり、ケーブルが断線したりしない限りは、電波の届き方が一番速くて安定です。
一方で無線接続の場合は、電波は波のように広がりながら空気中を伝わり、パソコンまで届きます。
空気中に広がりながら届く形となるので、パソコンなど機器の置き場所の自由度が有線接続よりも高い接続方法ですが、途中に邪魔をするものがあると電波が弱まったり、しっかりと届かなかったりします。
無線接続を邪魔するものというと、たとえばドアや壁、水槽など水が多く入っているもの、家具や衣類から家電製品から生じる電波までも、障害物になることがあります。
時折、タンスや引き出しの中にルーターをしまっていたり、布や箱で包んで置いている人などもいらっしゃるのですが、それはひたすら電波を弱めるだけの行為なので、避けてください。
ここまでお読みいただいて、電波ってこんなに障害に弱いのだと驚いたかもしれません。
特に、無線接続で使われる2.4GHz(ギガヘルツ)帯という電波は、家電製品などからも同じような電波が使われているため影響しやすいという特徴があります。
ですからもし無線接続でインターネットを接続するなら、2.4GHz帯ではなく5GHz帯の電波のほうで接続ができると、通信速度も安定度も良い状態を作りやすいです。
しかし、5GHz帯は通信速度が速い代わりに、離れた場所まで電波を届かせることが苦手という特徴があります。
ルーターの置いてある場所から遠くなればなるほど、本来の能力を発揮できないケースが増えますので、その場合には2.4GHz帯と比べてどちらが安定しているか、確かめてお使いになってみてください。
ちなみに、無線接続のことをWi-Fi(ワイファイ)と呼ぶ方もありますが、Wi-Fiとは本来、端末が無線接続を行えるようになるための規格のことを言います。
もう少し簡単に表現するなら、「お互い、Wi-Fiというルールを使って無線接続をしましょうね」という話をしているようなものです。
無線接続の中に、Wi-Fiというやり方があるのだ…というくらいに思っていてください。
※もし、無線接続の電波がどのくらいの強さで届いているか判断が難しい場合には、「WiFi Analyzer」という無料のソフトなどをお使いいただくと、電波の強さを数値や表にして表してくれるので、便利です。
ルーター導入時に、設定が最も速いものになっているか
特に個人でルーターを購入してお使いの場合には、インターネットの接続がIPv6という設定になっているか、確認してみる価値があります。
IPv6でのインターネット接続は、まずプロバイダとの契約の段階で、IPv6に対応しているかどうかが必要です。
そこでプロバイダのサービスがIPv6に対応しているのであれば、次はルーターの設定でIPv6が使える状態になっているか、それを確認してみましょう。
※もちろんルーターがIPv6に対応していない古いものであれば、使うことはできませんので注意です。
さて、このあたりで、光回線の業者とプロバイダとの違いが、混乱してきた方もいらっしゃるかもしれません。
一旦整理してみましょう。
・フレッツ光、ドコモ光、au光、ソフトバンク光、Nuro光…など、~光の名前がついていることが多いのですが、こうした業者はどれも光回線の契約の業者です。
これらの業者は、光回線に関することを管理していますが、その先でインターネットに接続する部分には、関与していません。
そのインターネット接続を行う業者のことを、プロバイダといいます。
・プロバイダには、So-net、nifty、GMOとくとくBB、BIGLOBE、OCN…など、これらは一部でとにかく多数の起業があります。
プロバイダについては、先ほどの光回線の業者のどこと契約したかで、選べるプロバイダが変わってきます。
インターネットの契約をする際に、必ず光回線の業者とプロバイダ、それぞれの契約書が出てくるはずですから、よくご確認のうえ、ご自身がどこの業者と契約しているかは、覚えておいたほうがいいです。
少し横道に逸れてしまいましたが、IPv6のサービスを確認する先はプロバイダのほうになります。
IPv6が使えるかどうかは、基本的には機器が自動で設定してくれるので、個人で設定することは無い場合が多いのですが、手動で設定をしないと切り替わらない場合もあります。
また、インターネットの契約をした直後などでは、切り替わりに数日の時間差が生じるケースなどもありました。
IPv6で通信できているかどうかは、『 IPv6 確認 』と検索していただくと、ネット上でテストする方法や、パソコンの設定から調べる方法などが出てくると思います。
どの方法であっても基本無料で調べられますので、お時間があればぜひ一度、チェックしてみるのもよいかと思います。
ルーターも、休憩が必要なときがある
ルーターを時折リセットすることの効果について。
ルーターは、最初のほうにお話ししたように、内部のコンピュータが空港の管制官のよう常に指示を出したり、めまぐるしく動き続けています。
機械の中には常に電気が流れてる状態ですから、季節や置き場所にもよりますが、時には熱がこもったり、過剰な電気が流れて内部でエラーを起こしたりするケースもあります。
そうした状態の解消で最も単純な方法として、ルーターの電源プラグをコンセントから抜いて、数分置いてあげるという方法があります。
イメージとしては、ちょっとソファでお茶でも飲んで一休み…という状態を、ルーターにも作ってあげる感じです。
電源をつなぎなおすと、再起動してネットが使えるようになるまで数分(5分とか、それくらいの時間のことが多いです)かかりますが、その後はリフレッシュした状態で動いてくれると思います。
ルーターも使用年数で買い替えを
パソコンやスマホが次々と年月に応じて性能アップしているように、ルーターも機能はアップしていて、また何年もつかっているルーターは、どこかで故障が起こりやすくなっていることもあります。
あまり意識したことはないかもしれませんが、3~5年の範囲などで、ルーターも新しいものに換えたほうが、ネット環境が安定することもあります。
機械なので、もちろん当たり外れがありますから、何年も使っても安定して動いてくれている場合もあります。
ですが、古いパソコンだとだんだんと使い勝手が悪くなっていくように、ルーターも新しくしていったほうが、快適なネット環境を作ることができます。
ルーターが長持ちするために気を付けたいのは、棚の後ろや布にくるまれた状態など、熱がこもりやすい状態に置かれたり、ホコリと湿気が溜まったりしやすい状態が続くと、故障の原因にもなっていきます。
この点はパソコンと一緒です。
以上で、ルーターについての大まかな説明を終わります。
ご利用のネット環境の改善に、この記事が少しでもお役に立てれば嬉しいです。