オンラインの音質を決めるもの
今回の記事では、マイクとは別にオンラインでの通話品質を担うネット回線のことをお話ししていきます。
マイク選びとまた違った視点で重要な要素ですので、下記に当てはまる人はぜひ、ご一読いただければと思います。
・普段インターネットに接続したときに、画面の表示に時間がかかっている
・zoomなどのオンライン会議で通話を行ったとき、参加者から「声がうまく聴こえない」と言われたことがある
・zoomなどのオンライン会議の途中で、通信が落ちて接続終了してしまったことがある
上記の症状に思い当たることがある人は、マイク選びだけでなくインターネット環境についても見直しが必要な場合があります。
せっかく買ったマイクの本来の性能が、引き出せない…。
そんなことになる前に、音質改善の1つの手段としても知っていただきたい項目です。
インターネット環境はどのように造られているのか
今回のお話しをご理解いただくためには、まずインターネット環境について大まかな全体像をつかんでもらうと、理解が進みやすいです。
できるだけ簡易な表現になるよう心がけますが、そのため厳密には正確ではない表現が出てくる場合もありますので、そのあたりはご容赦ください。
まずインターネットは、サーバーという【世界中のどこかにある情報の倉庫】から、個人のパソコン・スマホなどに向けて情報データのコピーをもらってきたり、あるいはサーバーを経由して相手のパソコンなどと繋がることで、成り立っています。
このサーバーは文字通り世界中にあるため、それをつなぐためにはとても長い距離の海底ケーブルや、そこから派生した各種ケーブルが必要になります。
その長さはアメリカの調査会社の発表によれば、海底にある光ケーブルの総延長距離だけでも、実に130万km…地球30周分におよぶという報告がされています。
こうしたケーブルをさらに細かく網の目のように結び続け、電線などを経由して最終的に各家庭にまで届けられていることで、私たちは多様な情報へアクセスできたり、あるいはリアルタイムに通話を楽しむことができています。
さて、サーバーは最初に、世界中にある情報の倉庫であるというようにお話ししましたが、倉庫と言ってもただ格納するだけが仕事ではありません。
サーバーにはそれぞれコンピュータが搭載されていて、「うちのサーバーの中にはこんな情報が入っていますよ」という情報を伝える役割と、「こういう情報を探しているんだけど、この情報はどこのサーバーさんが持っていますか?」と情報探しについてお手伝いをするという役割があります。
皆さんがパソコンやスマホから何かを検索したり、あるいは動画などを視聴したりする場合にも、こうした「どの情報がどこに格納されているか」を探すやり取りが、高速で行われているのです。
キーボードで打ち込んだ情報は、パソコンが内部処理して0と1の情報に書き換え、それがLAN(ラン)ケーブルもしくは無線のLANによってルーターという機器やONUという機器を経由して家を出ます。
家を出た情報は電線などに添ってケーブルを辿っていき、そして皆さんがご契約している会社のサーバーへと到着します。
ここからさらに、必要な情報が入っているサーバーの場所を特定して、そこから情報をダウンロードしてきて、最終的にパソコンやスマホに届く…という作業を、何度も繰り返しています。
こうしたことから、プロバイダという、【ご契約されているインターネット仲介をする業者】がいて、その業者が持っているサーバーやネット環境の機能により、通信が快適になったり、あるいはなかなかうまく動いてくれない場合も生じてくるのです。
音声通話の場合のネット環境は?
WEBサイトを閲覧したり、YouTubeなどの動画をみるのと、zoomなどの通話用のツールを使っている場合とでは、何か違いがあるものでしょうか?
これについて簡単に説明すると、通常のWEBサイト閲覧や動画視聴ではこちらから要求した情報やデータの行く先の最終目的地がサーバーであり、そこから折り返して必要な情報が自分のところに届くのに対して、
通話ではこちらから発信した情報がデータの塊としてサーバーを経由したあと、最終目的地が相手側のパソコンやスマホなどになっているという部分だけが異なります。
データの塊はサーバーにしまい込まれるのではなく、通信相手のパソコンにまでそのまま流されるのです。
ですからこちらから送ったデータの行き先がサーバーで止まるか、相手のパソコンまで行くかだけの違いであって、各種サーバーとケーブルを通過しながら情報がやりとりされるという点では、いつものネットと同じ通路の中を走っていることになります。
※近代は衛星通信もめまぐるしい発達をしていますが、衛星通信は上空かなり高い位置にあることなどから、どうしても通信にタイムラグが発生しがちであるため、音声通信も主力はケーブルを通る方式で変わりないそうです。
ネット環境が原因で起こる音質の劣化とは
ここまでに大まかな通信の構造をお話ししてきましたが、ここからは実際にネット環境が原因で生じる音声の質の低下について、書いていきます。
個人の話し方の癖や、マイクなど機械的なものから発するノイズ、さらには生活環境音などの入り込みからくる音質の低下と、ネット環境が悪いことで生じるノイズの起こり方には、少し違いがあります。
具体的には、ネット環境のトラブルで生じる音声の劣化は、音声の遅延や、それが続いたことで間延びしたような音声になったり、あるいは断線してブツブツと途切れるような形で音が聴こえなくなるといった症状が主なものになるのです。
これは、リアルタイムに声に雑音が混ざるのと違って、ネット環境トラブルでは通信データが正常なタイミングで届かないこと(通信速度が低下することで本来なら連続して届くはずの音声データがバラバラになって、スロー再生したように届いてくることで生じたり、通信が途切れて、隙間が空いて断片的に届いたりする影響)によって音質が下がることが多いので、ノイズが乗る…というよりも、音が割れる・壊れるといった形で上手く聴こえなくなるパターンが多いのです。
zoomなどで顔出しをしながら通信している場合などは判りやすく、音声が間延びしたり途切れ始めるときには、画面上の映像も一緒にカクカクした動きになったり、画面が止まってしまったりします。
こうしたネット環境を原因とする音声の壊れ方は、後から修復もできないので、有料セミナーなどで主催する側は特に注意が必要だと思います。
私個人の話になりますが、有料で受けたオンライン研修会で上記のような「音声小さい・音飛びするときがある・ときどき画面も止まる」の三拍子そろったものと遭遇して、その後の受講をやめたものがありました。
せっかく中身のある講座でも、ちゃんと伝わらない状況では時間を浪費している感じになってしまうなと、その時に思いました。
完全に防止することはできないとしても、個人の家庭のネット環境に依存した形でセミナーをするときなどは、ご自宅のネットは十分な速度で動いているのか、それを事前にチェックしてみることも、トラブル防止のための1つの手段です。
光回線やプロバイダ選びも重要
私たちがインターネット通信を高速かつ安定して行えるために必要なことは、個人の家庭でWi-Fiの設定を見直したり、機器やLANケーブルを新しくするだけがすべてではありません。
重要な要素として、ネット回線の品質を保つのに必要な、回線の選び方や業者の選び方によっても、差が出てしまうことがあります。
現在使われている通信方式では、光回線方式が中心になりますが、さらにADSL方式という古いものも存在します。
ADSLはすでにサービス終了することになっているので、新規契約される方はいないと思いますが、
通信が遅い代わりに利用料が安いため、古くからネット回線の契約を見直していない方などを含め、移行期間中などでひょっとしたら契約が続いている方がいらっしゃるかもしれません。
この機に、見直しをされることをおすすめします。
また光回線で契約していた場合にも、光回線の業者とあわせて、インターネットの接続を担うプロバイダと呼ばれる業者の選び方によっては、通信が遅いといった状態が、発生することもあります。
光回線とプロバイダの選び方については、情報が多く判断も難しいため、基本的には他のサイトなどをご参照いただければと思います。
一見するとどの業者も同じようにみえる光回線選びとプロバイダ選びですが、契約の仕方によっては月額利用料を下げることもできるので、
ネット回線がどうにも遅くて困っている…という方は、一度契約を見直してみてはいかがでしょうか。
ちなみに私の家では、家族がドコモユーザーということもあり、
・光回線を、フレッツ光からドコモ光へ変更
・プロバイダもOCNからGMOとくとくBBへ変更
上記の手続きを行ったことで、月額の利用料は以前よりも下げつつも、ネットの通信速度ではむしろ以前より安定・改善してきているといった現象もありました。
お使いのスマホが大手キャリアの場合には、このようにスマホのキャリアが展開している光回線とつながってみるというのも、一つの選択方法であると思います。
まとめ
インターネット回線にトラブルがあることから生じる音質の劣化では、次のような特徴がみられます。
・リアルタイムの音声にノイズが混じるというより、音声が遅延したり、間延びしたり、場合によっては音がところどころ抜けたり、回線自体が切れてしまったりするケースがあります。
・ネット回線の通信速度は、WEBサイトで計測することも可能です。
・ネット回線の高速・安定化には、光回線業者やプロバイダ業者の契約内容を見直してみることも有効
専門的な用語が多くなる分野で、難しかったと思います。
ですが、せっかくマイクを新調したのに、音が悪い状態が続いている…と言われた時などは、はたしてネット回線に問題がないかどうか、調べるためのチャンスだと思います。
皆さんのネット環境が改善され、通信速度不足などの悲しい形でストレスを感じることなく、安定したオンライン通話ができることを、願っています。
続いては、ネット環境改善のもう一つのポイントになるルーターについて、お話ししてみたいと思います。