MV7+はUSB使用での性能が大幅アップ!
SHUREのMV7は、2020年11月2日に発売されました。
USB接続で使えて音質もよい貴重なダイナミックマイクとして、当ブログでもご紹介しているマイクです。
そんなMV7の正統進化版として2024年4月10日に発売されたのが、MV7+(プラス)です!
発売より約3年半の時を経て、どんなところが進化したのでしょうか?
MV7にない機能は?
音質はどうなった?
MV7と比べたら、どちらを買うのがおすすめ?
そんな疑問の解消に少しでもお役に立てるよう、MV7+を実際に購入して使ってみました。
MV7+はMV7と比べると、USB接続で使用する時の機能が大幅にレベルアップしています!
・マイクと口元との距離を気にせず使える
・エアコンや扇風機を使いながらでも、雑音を気にせず通話や収録ができる
・オンラインでの通話や音声収録時、周囲の環境音が入ってしまうストレスまで減らせる
・発声時のノイズも一部除去できるから、そのままで音声データのクオリティアップにも
MV7+にマイクを変えることで、皆さんにもこんな使用環境が手に入るかもしれません。
USB接続の使用時音声を中心に、旧MV7とどう違うのか、今回も音声サンプルもつけてレビューしていきますので、ぜひ最後までご覧ください!
この記事が、MVシリーズのマイク選びの参考になれたら幸いです。
MV7+ ポッドキャストキット 購入してみた
今回私が購入したのは、MV7+ ポッドキャストキット
MV7+は通常、マイクのみの販売ですが、こちらはマイク本体のほかにマイクスタンドが付属するタイプの製品です。
今回はマイクアームがない方にも、マイクスタンド付きの選択肢を選ぶとどうなのかをお伝えするべく、こちらを購入しました。
中身はこんな形で入っています。
マイク本体のほか、マイクスタンドのパーツと、マイクアームなどに取り付けるための変換ネジも入っています。
付属するUSBーCケーブルは3mあるので、設置するときに長さ不足で困らないのは嬉しいですね
マイクスタンドの底部は、ゴム製のクッションが付いています。
金属オンリーではないので、机に傷がつかないよう保護できますね。
組み上げたところがこちらです。
こちらのマイクスタンドは、首の長さを5cm程度変えることができます。
マイクの背面には、USBーCの差込口・XLRの接続口・ヘッドホンジャックがあります。
旧製品のMV7と並べてみても、ほぼ同じような配置ですね。
マイクのグリル部分を保護するウインドスクリーンは、1cmほどの厚みがあります。
また、マイクのグリル内部にも保護するようにスポンジのようなものが入っているのがわかりました。
しっかりと保護されている感じがして、好印象でした。
マイクの外観は以上です。
次は、マイクに搭載された新しい機能についてみていきましょう!
MV7+の新機能!
MV7+は、これまでのSHUREのダイナミックマイクになかった新しい機能が搭載されています。
これらの機能は、すべてUSB接続したときのみ使えるようになっています。
・距離に応じて自動で音量(ゲイン)を調整してくれるオートレベルモード
・自分の声を残しつつ、周囲のノイズをリアルタイムに抑えてくれるリアルタイムデノイザー
・ポップノイズ(パ行などの発声時にマイクに息があたるときのノイズ)を抑えてくれるデジタルポップフィルター
・マイク音声に、スタジオやホールで話しているような反響音をリアルタイムに重ねられるリバーブ機能
これらの機能は、マイクをUSB接続して、SHUREの専用アプリMOTIV Mixを起動することにより、オン・オフを自由に切り替えることもできます。
それではさっそく、個々の機能について解説していきます!
MV7から進化したオートレベルモード
自動でゲインを調整してくれるオートレベルモードについては、旧製品であるMV7にも搭載されていました。
その時は、マイクと口元との距離がニア(近い位置)かファー(離れた位置)かを選択する必要がありました。
自動調整してくれるものの、たとえばファーの設定でマイク近くでしゃべると音が大きすぎることがあるなど、微妙に調整が必要となるものでした。
今回搭載されたMV7+のオートレベルモードは、オンにすると近いときも遠いときも、それぞれ自動で調整してくれるようになりました。
本当の意味でのオートレベルモードになった…とも言えるかもしれません。
MV7+:オートレベルモードのテスト
比較として、旧製品のMV7のオートレベルモード(ニア)はこちら
お聴きいただいてわかるかもしれませんが、今回のMV7+は基本的な音量が旧製品よりも大きくなるように調整されました!
この点についても、個人的には嬉しい改善だと感じています。
環境音の一部ノイズをリアルタイムに消してくれる!リアルタイムデノイザー
環境音には、室内であればエアコンや扇風機の音や、ちょっとしたテレビ音声、スマホなどが鳴ったときなど…様々なものがあります。パソコンのキーボードをタップしたときの音もあります。
室外であれば、車の走行音などもありますね。
こうしたノイズを、リアルタイムにその場で調整して消してくれるのが、新しく搭載されたリアルタイムデノイザーです!
リアルタイムデノイザーはデジタル処理でノイズを消してくれる機能であるため、ノイズの音量次第では、動作時に自分自身の声にも若干の変化があります。
しかしその音声への影響を差し引いても余りあるノイズ除去効果があります!
効果を実感していただくために、下記のような条件で雑音を流した状態で録音テストをしてみました。
・夏の花火大会で撮った動画の音声をスマホから流しています(車が近くを通過した際の音なども入っています)
・空気清浄機をマイクから2m程度離れた場所で強めに動作させています
・エアコンが弱動作で動作しています
上記の条件でMV7+での録音を行ってみました。
比較サンプルとして、MV7+で可能な一番いい収録音になるようにXLR接続したもの(リアルタイムデノイザーは使用できない)もお聴きください。
なお、このノイズテストの背景音声はどちらも同じものを流しています。
※イヤホンまたはヘッドホン推奨
MV7+ノイズテスト:XLR接続
続いて、USB接続でリアルタイムデノイザーがオフの状態・オンの状態を比較しました。
MV7+ノイズテスト:USB接続
いかがでしょうか?
リアルタイムデノイザーがオンになると、かなりノイズが減ったのがおわかりいただけたかと思います。
ここでさらに、ちょっと極端な設定ですが…ドライヤーをマイクから1mの距離で動かした状態で録音をしてみました。
リアルタイムデノイザーのオン・オフでの違いを感じていただければと思います。
MV7+ノイズテスト:キーボードのタッチ音(リアルタイムデノイザー:オン)
キーボードのタッチ音については、マイクアームで使用したほうが振動が少なくなるぶん、やや抑えられているように感じます。
※リアルタイムデノイザーをテストして感じましたが、スマホなどのアラーム音など、高い音が鳴ったときにはあまり抑制できない傾向があると思います。
万能のノイズキャンセルではないので、どんな音でも抑えられるわけではないことは考慮しておいていただくとよいかと思います。
マイクに入る吹かれ音を軽減するデジタルポップフィルター
MV7+はマイクのグリル内部にもスポンジがあり、約1cmの厚みのあるスポンジのウインドスクリーンも最初からついています。
そこにさらに、パ行の発音などでマイクに強い息が当たったときのノイズをリアルタイムで軽減してくれるのが、デジタルポップフィルターです。
こちらの機能は、MOTIV Mix内のポッパーストッパーをオンにすることで機能します。
素人の耳では、リアルタイムデノイザーの時のようにそこまで大きな差は感じ取れませんでしたが、若干、ボフッというような音がソフトになっている?ように思います…
皆さんは聴いてみて、いかがでしょうか?
MV7+:デジタルポップフィルター
音声にリアルタイムで反響音をつけてくれるリバーブ機能
こちらは配信などで音声に少し脚色をしたいときに便利な、リバーブ機能です。
従来は収録後にソフトウェアで加工するか、あるいは何か別のソフトやオーディオインターフェース等でリアルタイムに反響音をつけるように加工するか…といった作業が必要な効果でした。
今回はそれが、マイクをコントロールするソフトに初めから入っているのでとても便利です。
MV7+:リバーブ機能
かなりリアルに再現されているような感じがします!
リバーブをうまく調整すると、自分の声のノイズもいい感じに紛れさせることもできそうな気がしました
様々な配信などにも生かせそうですね!
MV7+を使ってみて感じたメリット・デメリット
ここまで、MV7+の様々な機能をご紹介してきました。
最新の機能が追加されたからこその評価できる面もありますが、一方で使用して気になった部分もいくつかありますので、ここではデメリットについてお話ししてみたいと思います。
MV7+のメリットは…
・旧製品(MV7)よりも聴き取りやすくなった
USB接続で使用した際に、MV7+は基本的な音量がアップするよう製造されています。
そこにさらに進化したオートレベルモードのお陰で、マイクと口元との距離が多少離れても安定した音量で発信することができます。
音量が安定していることは、話し手だけでなく聞き手にとってもストレスが減るメリットがあります。
・様々なノイズをその場で減らしてくれるリアルタイムデノイザーがとっても便利!
今回の目玉ともいえる高性能なノイズ低減機能、それがリアルタイムデノイザーです。
この記事でも音声サンプルでご紹介しましたが、なかなか大きな雑音が入る状況でも、自分の声が伝わりやすいよう周囲の環境音を抑えてくれます。
しかも、話しているその場で即座にノイズが抑えられるため、収録後の編集などと違ってライブ配信などリアルタイムの通話でも使える点が大変助かりますね。
もちろん、リアルタイムデノイザーでノイズを抑えたものを、さらに音声編集ソフトでよりクリアに聴こえるよう処理もできますから、あらゆる音声発信に便利な機能だと思います。
現時点はで、このマイクほど優秀なノイズ低減機能が搭載されている製品は、他には見当たらないように思います。
・ポップフィルターがハード面でもデジタル処理面でも手厚い!
マイクに強めの息があたったときに、パフッとかボフッといったノイズが入るのが、ポップノイズと呼ばれるものです。これを低減するには、物理的にマイクの集音部を保護するものをつけるか、ソフトウェアで音声処理して消すか…という方法があります。
MV7+では、1cmほどの厚みのあるウインドスクリーンで物理的な対策があり、さらにソフトウェア処理でもリアルタイムにポップノイズを減らそうとするデジタルポップフィルターが搭載されています。
クリアな音声を届けよう…という、SHUREの心意気が感じられる構成になっているように思います。
・音声加工にまつわる機能も充実
マイクの音声について、その場で様々な効果を載せる機能も、今回は充実しています。
自分自身の声に反響音の効果をかけられるリバーブ機能は、リアルタイムにスタジオやホールなどで話しているような加工がかけられます。(先日友人と通話の際にリバーブをかけたら、遠くから神の声が聴こえた…みたいな雰囲気になって面白かったという反応もいただきました。笑)
また、自分自身の声質にあわせて声の低音部や高音部をそれぞれ強調するようなトーン設定も、細かく調整することができます。
・一定の周波数の音域をカットするハイパスフィルターも搭載
従来のマイクなどでノイズ低減に利用されてきたハイパスフィルターも、もちろん搭載されています。
設定は75Hzと150Hzの設定が可能です。
一定の周波数で入りやすいエアコンの動作音や、テレビ電波などのデジタルノイズへの対応が可能です。
前述のリアルタイムデノイザーとあわせることで、より高度にノイズ対策ができます。
・音声ミュートボタンにも使えるLEDライト搭載
音声ミュートボタンは旧製品でもありましたが、ボタンが小さく、ミュートのオンオフについても一見するとわかりにくいこともありました。
今回はLEDライトの全面がミュートボタンとなったことでとても押しやすくなり、また赤く独自のライティングがされることで、ミュートがオンになっているかどうかが一目見てわかるようになりました。
使い勝手も改善されている点が嬉しいですね。
・XLR接続にも対応
旧製品でも使えたように、より高音質での使用を考えていくときにはXLR接続が可能になっています。
USBでの使用に慣れて、オーディオインターフェースの導入などより高度な収録環境にチャレンジしていきたくなったときにも、機能や音質とも充分に使用に値するマイクになっています。
MV7+のデメリットは…
・機能満載なので価格が高い
旧製品であるMV7よりも、さらに価格が上がりました。初めてのマイク選びで購入を考えるときには、気軽に手を出せる価格ではないように感じます。
ただしXLR接続など今後に使用環境を変えていく時にも使える機能が入っての価格ですので、そのあたりをよく考慮したうえで、検討していただくのがよいかと思います。
・ゲイン調整が難しい
オートレベルモードがとても便利な反面、人によっては音を大きく拾いすぎる可能性もあります。
パソコン本体などで音量の調整などの必要も出てくると思いますので、何度か使ってみて快適な音量をチェックしておくといいと思います。
・リアルタイムデノイザーの使用時の声質変化
リアルタイムデノイザーは、周囲の雑音を即時調整してくれるとても便利な機能でしたが、自分自身の声質にもどうしても影響が及んでしまい、若干機械音声っぽくなってしまうところがあります。
ノイズがかなり小さい環境下であれば、自分の声にはほとんど影響なく調整してくれるのですが、ある程度の大きさの雑音が入ったときには、だいぶ声質に変化がでるように感じました。
このあたりをどう評価するかで、このマイクを購入したいと思うかの分かれ道になりそうに思います。
・専用ソフトでもう少し細かく調整できるようにしてほしい
これは個人的な感想ですが、ゲイン調整の程度やLEDライトの設定などについて、もう少し細かく制御ができたら嬉しいなと思います。
例えばLEDライトは、音声ミュートがオンになったときには赤く点灯するのですが、これを赤ではなくて消灯にしたいと思っても消灯することができません。
明るさの程度などは調整できますが、LEDライトを使用したくないケースも想定してもらえたらさらに便利かなと思います。
結論:MV7+はどんな人にオススメ?
ここまで各機能について説明し、MV7+のデメリットについてもお話ししてきました。
最新のMVシリーズのマイクとして、まさに正統進化と感じているのですが、このマイクはどんな人にオススメかというと…
結論:当ブログサイトでダイナミックマイクを選びたい人なら、真っ先にオススメします!
旧製品と比較したときに、私が特によくなったと感じている面が3つあります。
・オートレベルモードを含め、全体的に音量が大きくなった
・リアルタイムデノイザーを使用したときのノイズ除去効果に感動した
・USB-C接続になったことで、androidスマホやiPhoneなど他のデバイスでも接続しやすくなった
実は旧製品は、音量(ゲイン調整)の面で若干物足りない部分がありました。
音量を調整するのに苦労するだけでなく、上げたら上げたでノイズを拾いやすくなることがあり、その部分で少し気になっていたのです。
しかし今回、音量の面が最初から改善されただけでなく、周囲の音が拾いやすい状況をリアルタイムデノイザーで調整しやすくなった点が、とても好印象に感じられました。
マイクを使用する様々な場面で、ノイズを気にする必要が減るのはかなり嬉しいものです。
そしてダイナミックマイクであれば、コンデンサーマイクと比べても耐久性や管理のしやすさといった面でも優れます。
これまでの当ブログでイチオシだったHyperX Quadcast S と比べたとき、確かに価格の面ではだいぶ差ができますが、初めてのマイク選びであったとしても、MV7+はマイクの機能の「あったらいいな」をほとんどカバーしてくれているので、後悔なく長くお使いいただけるのではないかと思います!
MV7+、本当にオススメのマイクですので、マイク選びに悩んでいたり、購入をご検討の方のご参考になりましたら幸いです。
まとめ
MV7+は、旧製品のMV7と比較してハードの面でもソフトの面でも、正統進化を遂げたマイクになりました。
ハードウェア面では
・旧製品よりも音量が大きめに入るようになった
・USB-C接続で様々な機器とつなぎやすくなった
・ウインドスクリーンが旧製品よりも長さ・厚みとも改良された
・LEDライトがシンプルな構成になり、音声ミュートボタンとしても旧製品より使いやすくなった
ソフトウェア面では
・音声のオートレベルモードが簡単かつ便利で、口元とマイクの距離をあまり気にせず使えるようになった
・リアルタイムデノイザーで即座に雑音を抑えることができる
・デジタルポップフィルターなどノイズ対策が充実している
・リバーブ機能や声質の傾向にあわせたトーンの調整などが、細かく多彩に行えるようになった
などなど、嬉しい追加機能がたくさんありました。
その一方で、
・USB接続で使えるダイナミックマイクとしては、価格が高い
・ゲイン調整が難しい
・リアルタイムデノイザーの使用時に、ノイズの音量次第では声質変化(音声の劣化)が生じる
・専用ソフトの使い勝手に改良の余地あり
といったデメリットもあります。
こうした面を考えたうえでも、今回MV7+はUSB接続で使えるダイナミックマイク選びとして、特にオススメできる1本です!
マイクスタンド付属版も購入できますので、マイクアームをお持ちでない場合にも選択肢があるのが嬉しいですね。
MV7+が気になった方は、ぜひチェックしてみてください。
本当にオススメです!
MV7+:通常版(マイクスタンドなし)
MV7+:ポッドキャストキット(マイクスタンド付属版)